やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
 マティアスは挑むようにして、私に聞いて来た。嘘は許さないと言わんばかりに強い光を秘めた青い目に、私は息をのんだ。

「……真面目そうな人だなって思うわ。無口だけど、とても優しそう」

「まあ、間違ってないかな。でも、君には僕の方が、合うと思うよ」

 私は首を傾げた。気のない様子の私に、必死に言い募るマティアスがなんだか、可愛く思えてきた。

「……その根拠は?」

「僕の方が、君の事を好きだ」

「そんなこと、証明できないわ」

「証明する。これからじっくりね」

 色気のある目つきで、挑戦的に私を見た。

 それを証明されたところで、もう付き合う訳ないんだけど。
< 56 / 169 >

この作品をシェア

pagetop