やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
「お前が社交界にすぐにでも出たい希望していたから、仕立て屋を呼んであるぞ、今流行りのメゾンだ。金に糸目をつけず、お前の着たい好きなドレス作ると良い」

「ヴァレール兄さん。兄さんが成功したのは知っているけれど、こんなに派手にお金を使って大丈夫なの?」

 心配顔の私を冷たく見える目で一瞥して、フンと息をついた。

「お前のドレス程度、微々たる金額だ。せっかくだから、この機会に季節毎に何枚か作っておけ。これからは、いつも同じドレスではいられないからな」

「……ありがとう。兄さんたちの妹で良かったわ」

 ヴァレール兄さんは、私の笑顔に、もう一度鼻を鳴らすとにやりと笑った。

「社交界で特上の男を捕まえろ。ニーナ。母上似のお前になら、それが出来る」

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