やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
当初騎士を目指していたヴァレール兄さんは、日ごろの鍛錬を欠かさなかった。
さっとジャンポールの手の中から自分の手を取ると、彼のお腹を触ろうとしたその時だった。
「ニーナ嬢、あまり、苛めないでくれ。自分を止められなくなる」
熱っぽいかすれた声で、ジャンポールは言った。
大きな背中に頬を近づけると、自分が今しようとしたことが、すごく恥ずかしく思えて、私は目を閉じた。
「……ごめんなさい」
素直に謝った自分の声がやけに小さくて、恥ずかしさがより増して来た。
手持ち無沙汰だった私の左手は、ジャンポールの大きな手がすぐに拾ってくれた。
「構わない、君が無事なら何の問題はない。どこか痛いところはあるか?」
「ないわ。貴方が……助けてくれたから」
ぎゅっと私の手を握る彼の顔は、夜の闇が邪魔をして窺い知ることは出来なかった。
大きな背中に耳を付けると、ドクドクと聞こえてくる心臓の音に耳を傾けた。
ジャンポールは無言のままで静かで、私も何だか、彼が命懸けで助けてくれたことに、胸がいっぱいになってしまってずっと黙っていた。
さっとジャンポールの手の中から自分の手を取ると、彼のお腹を触ろうとしたその時だった。
「ニーナ嬢、あまり、苛めないでくれ。自分を止められなくなる」
熱っぽいかすれた声で、ジャンポールは言った。
大きな背中に頬を近づけると、自分が今しようとしたことが、すごく恥ずかしく思えて、私は目を閉じた。
「……ごめんなさい」
素直に謝った自分の声がやけに小さくて、恥ずかしさがより増して来た。
手持ち無沙汰だった私の左手は、ジャンポールの大きな手がすぐに拾ってくれた。
「構わない、君が無事なら何の問題はない。どこか痛いところはあるか?」
「ないわ。貴方が……助けてくれたから」
ぎゅっと私の手を握る彼の顔は、夜の闇が邪魔をして窺い知ることは出来なかった。
大きな背中に耳を付けると、ドクドクと聞こえてくる心臓の音に耳を傾けた。
ジャンポールは無言のままで静かで、私も何だか、彼が命懸けで助けてくれたことに、胸がいっぱいになってしまってずっと黙っていた。