やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
「ニーナ、君が好きだ」

 頭にキスを落とされて、囁くようにそう、言われても、私は毛布の中俯くしか出来なかった。

 マティアスは、何かを隠していたんだ。何かを。私に言えない、何かを。

 冷たくなってから嘆き悲しむばかりで、彼に問い詰めようともしなかった、私。

 嫌われるのが怖くて、何の努力も出来なかった、私。

 マティアスにも、何か事情があったとしたら? 彼もまた、時をやり直している私みたいに、悲しんでいたとしたら?

 胸が痛んだ。

 もしかして、私はひどい勘違いをしていたのではないかと、その時にようやく気がついた。
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