やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
14 会う
「ニーナ?」
考え事をしていた私は、名前を呼びかけられて、はっと顔を上げた。
今日はジャンポールを招いて、兄二人と応接室でもてなしていた。
余計なことを言いそうなお父様は、兄の采配で仕事を理由にここには居ない。
「……ごめんなさい。考え事をしていたわ。何でしょう。シメオン兄さん」
作り笑いを浮かべながら、隣に座るシメオン兄さんの顔を見る。ヴァレール兄さんはジャンポールと何か仕事の話をしているようだった。
マティアスが来てくれるはずだった日から、あれから。
マティアスからの手紙は、私へ届かなくなった。
もしかしたら、事前にヴァレール兄さんが止めているのかもしれない。
兄さん本人はそんなことはしていないと、そう言っているけれど。あんなことをされたら、どうしても疑い深くなってしまうのが普通だと思う。
手紙は届いているのか、いないのか……それすらも、わからない。そして、それをどうすることも出来ない、お金を稼ぐ能力のない自分がすごく嫌だ。
「まだ体調が優れないのか?」
「少し考え事をしていただけなの。何の心配もないわ」
考え事をしていた私は、名前を呼びかけられて、はっと顔を上げた。
今日はジャンポールを招いて、兄二人と応接室でもてなしていた。
余計なことを言いそうなお父様は、兄の采配で仕事を理由にここには居ない。
「……ごめんなさい。考え事をしていたわ。何でしょう。シメオン兄さん」
作り笑いを浮かべながら、隣に座るシメオン兄さんの顔を見る。ヴァレール兄さんはジャンポールと何か仕事の話をしているようだった。
マティアスが来てくれるはずだった日から、あれから。
マティアスからの手紙は、私へ届かなくなった。
もしかしたら、事前にヴァレール兄さんが止めているのかもしれない。
兄さん本人はそんなことはしていないと、そう言っているけれど。あんなことをされたら、どうしても疑い深くなってしまうのが普通だと思う。
手紙は届いているのか、いないのか……それすらも、わからない。そして、それをどうすることも出来ない、お金を稼ぐ能力のない自分がすごく嫌だ。
「まだ体調が優れないのか?」
「少し考え事をしていただけなの。何の心配もないわ」