やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
「そうだ。マティアスと城から帰るところだったんだ。ちょうど馬に乗っていたこともあり、君の兄上の声が聞こえてすぐに駆け付けた。まさか、君が犯人の腕に刃物を突き立てるとは予想していなかったが……勇気ある行動だが、あまり褒められないな。落ちた先が運良く川でなかったら、大怪我をしていただろう」

 苦笑しながら、私をまた見た。

「必死だったんです」

「君は見た目に似合わず、大胆なんだな」

「……私はジャンポール様から見て、どんな風に見えていますか?」

 そう言うとジャンポールは、顔を赤くした。耳まで真っ赤だ。

 そんなに……おかしなこと、聞いたかしら? 不思議に思い首を傾げて見つめる私に、ジャンポールは軽く咳をしてから俯いた。

「……君はとても美しい、と思う」

 ……わ。まさかそんな事を言われると思っていなかった私も、慌てて俯いた。

 状況が彼からの称賛の言葉をねだったみたいになってしまった。そういった意味ではなく、積極的とか消極的とかそういう印象を聞きたかったんだけど。

「あの、ありがとうございます」

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