鬼妃さまは甘い寵愛を受ける

1話

私は狐崎(こざき) ほむら。
白鬼院(しらきいん)学園の生徒会長。
この学園の全員から尊敬されているらしいけど、そんなことはないよね。
1人や2人、ましてや3人くらいは私のことを恨んでいてくれないと怖くなってくる。
それに、私にはごくごく一部の生徒しか知らない、とある秘密(・・・・・)がある。
流石にそれは…バレてしまったら命が危ういだろうな。
「あっ、総ちょ…いや、えっと…アネキ!!」
「…ん?ほむら会長、あの人って2-3の汐宮(しおみや)先輩ですよね。
誰に向かって『アネキ』って言っているんでしょうか…?」
「さあ?私にはわからないけど、迷惑だから注意しに行ってくるよ」
…そうは言ったが、実はわかっているんだよね。
どうせ「アネキ」と呼んでいる相手はこの私のことだと思う。全く…なんで他の呼び方ができないのかな、あいつは。
「汐宮 夏衣(かい)。ちょっといい?
…“色々”と話したいことがあるんだ」
「アネ…むぐっ!ふぁふぇふぃ(アネキ)〜?ほうひひゃんへひゅひゃ(どうしたんですか)へ、ははひへふふぁふぁいふぉ(手、離してくださいよ)
「はぁ…夏衣、お願い。一旦黙って…」
「あ、スミマセン…(察)」
「わぁっ、カッコいいですっほむら会長…!!流石ですねっ!」
「わっ…(つむぎ)か。びっくりした…」
「驚かしちゃいました?ごめんなさい」
「ううん、大丈夫だよ。
…と、そうだ。私は向こうで夏衣と話してくるね。その間、校門での挨拶とチェックは君に任せる。やってくれる?」
「もちろんですよっ!!ほむら会長の頼みとなれば私、日高(ひだか) 紬はどんな時でもやり遂げると、この身をもって誓います…っ!!」
「そ、そこまでしなくても大丈夫だよ…?」
「いえっ、私はほむら会長こそこの学園の生徒会長にふさわしい方だと思っています!ですので、会長の手を煩わせるようなことは一切したくないのですっ!」
「そう?それはありがたいね。じゃあ、私は夏衣と話してくるね。紬、よろしく」
「はいっ、もちろんです!」
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