アラサーだけど結婚願望ないから一人で生きていく。はずだったのに、会社の社長から結婚を申し込まれました。



男性は私に、包装紙で包まれた、プレゼントのようなものを渡した。


「この前大皿です。これはあなたに似合う」


そう言ってくれた彼に、私はどうして、と尋ねた。


「……鈴の音のような声をしていたから、素敵な女性だと思って。俺は、海堂 凪です。あなたは?」


私は、名前を聞いてまた驚いた。海堂 凪……私の勤めている、海堂ホールディングスの社長だったからだ。いつも髪をオールバックにしていたので、オフの時の、前髪のある海堂社長を初めて見たから、気づけなかったのだ。


「あの、私……」


私が社員で総務部事務員の、平塚 秋葉(ひらつかあきは)だと伝えると、海堂社長はとてもびっくりしていた。こんな偶然があるなんて……。


「平塚さん、か……。でもよかった。会社の人間だったなんて知らなくて。社長だからと寄ってくる女性も多いから」


海堂社長は微笑むと、


「今度食事に行きませんか?古い物好きとして、お話したい」


私は頷いた。こんな綺麗な人と、食事に行けるなんて。しかもアンティークの話ができるなんて……!


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