アラサーだけど結婚願望ないから一人で生きていく。はずだったのに、会社の社長から結婚を申し込まれました。
この前まで、一人でも生きていけそうな気がしていた。結婚にこだわる必要もないと思っていた。それが簡単に変わることは、なかったのだ。両親のいた家が、私の頭の中で展開されていく。結局あんなふうになったらどうしよう。子供が傷ついたらどうしよう。
しかし、海堂社長は世間的にも独身を貫くのは難しい立場だ。親戚や親からは早く結婚しなさいと言われているらしい。そろそろ後継をとまで……。
……出会わなければよかったのかも知れない。いっその事、知らなければよかった。あんなに海堂社長が温かいとは思わなかった。結婚まで考えていたなんて、私には贅沢過ぎる話にさえ思えた。だから私は、少しの間、海堂社長と距離を取る事にした。もう別れて、忘れてしまおうかとも思った。
それなのに……。