恋しちゃってもいいですか?
「実はな,高校の入学式の日に私…ある男の子に恋しちゃったんよ。」
もうこうなったらどうなでもなれという勢いで話した。後悔はしてへん。
「やっぱり?どんな人?」
女の子は誰でもこういうの聞くと興味信心になるんかな?男の子も変わらなさそうやけど。
「すごく優しくていい人なんよ。私が困ってたら色々心配してくれるし助けてくれる。」
「え?めっちゃいいやん。」
「そう。めっちゃいいんよ。顔も整ってるしちょっとチャラついてるところもあるド陽キャ部類の子なんやけど,すごく性格良くていい人なんよ。でも…。」
「でも?」
「私がその人と釣り合うかどうか分からへんのよ。」
なるほどねと納得したような顔をする希愛。希愛は私とは違い,直感で動くタイプ。私みたいに重く考えすぎたりはしない。
「お姉ちゃん,それ考えすぎちゃう?だって毎日連絡してるし学校でも毎日話してるんやろ?」
「うん。でもその人私みたいな暗い子じゃなくて香穂みたいな明るい子が好きなんじゃないかって思うんよ。」
「だから考えすぎやって。そんなことないと思うよ?ちゃんとその人に好きなタイプ聞いた?」
「え?」
そういや伊織のタイプってどんな人なんやろ?1番最初に聞かなあかんかった質問を聞いてへんかった。やっぱりアホや私。
「あー。やっぱり聞いてへんかった。ホンマにその人が明るい子がタイプかすらも分かってへんやん。明日ちゃんとその人にタイプ聞かなあかんで?」
「はい…。」
妹に説教される私情けない。あとアホでお馬鹿。
「それで?その人同じクラスなん?」
「うん。席がたまたま前後やってん。」
「もはやそれ運命ちゃうん?」
希愛がその言葉を言ったとき,体に電流が走った感じがした。
(運命…。)
この日の夜,その言葉が私の頭からなかなか離れへんかった。
< 26 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop