恋しちゃってもいいですか?
体が同じ学年の人よりはるかに小さかったのもあり,イジメの格好の餌食にされたんやって。自分よりも30センチ以上身長が高い人たちからお腹を蹴られたり,仰向けにされて手首を踏まれたり,頭突きをしたら口元を殴られて歯が折れてしまったこともあったらしい。それで服部くんは自分をバレーボールに誘った姉を酷く恨み,八つ当たりもいっぱいしたらしい。そして小3の時にリベロというポジションに出会ってそこからずっとリベロをやってるんやって。小さい頃から大人たちに変に期待され,姉のように上手にできひんかったら色々陰口を言われる。コーチもやたら自分だけに厳しい。大人に昔からそのように扱われてしまったせいで大人が大嫌いになり,大人の言うことを逆らうようになり,校則を破るようになったらしい。その辺りから授業中にゲームするようになったんやって。学校に持ち込んではいけない物も,結構持ち込んでたらしい。
「なんか,すごい大変やってんね。」
「まあ。僕がこうなったんも全部大人のせいや。だから僕大人嫌いやし,言うことも聞かん。そしてまずアイツらのこと信用してへん。」
やっぱ小さい頃からの体験って今後の人生に影響するんやな。服部くんももっとマシな体験してたらと思うと。なんか可哀想になってくる。
「僕も好きでこんな性格してるわけちゃうねん。ただなんか色々言われたりしたらどうしてもムカッてきてついつい煽り口調になっちゃうんよ。」
「そっか。ならそれをちゃんと翔真に話して仲直りしなあかんね。」
「うん。」
なんや,結構聞き分けのいい子やん。言い方さえちゃんとしたら服部くんも言うこと聞いてくれる。
(普通にいい子やん。服部くん。)
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