恋しちゃってもいいですか?
〜伊織side〜

「なあなあ伊織。何部入るー?やっぱ中学と同じサッカー?」
「かなぁ。洸も?」
他のスポーツでもいいかなって思うけど小学校からサッカーやってるというのもあってやっぱり部活入るとしたらサッカー部かなぁ。
「あたまえ。だってそれしか俺スポーツ出来ひんもん。それにサッカー部ってだけでモテそうやし!」
「んな訳あるかい。そんなん漫画の世界だけや。現実見ろ現実。」
「チェ,モテる男はいいよなぁ。」
洸は俺のことなんでこんなにモテる男って言ってくるんやろ?確かに何回か告られたことあるけどタイプじゃなかったから全振りして気付いたら高校生。彼女なんて一回もできたことない。なんなら告ったこともない。洸も中学のときいろんな女の子と仲良くしてたから割とコイツはコイツでモテてたと思う。
「なあなあ。サッカー部ってマネおるやん?」
「あー,おるなぁ。でそれがどうしたん?」
「あの子ら誘わへん?めっちゃ可愛いやん。」
洸が2人組女子の方を指差す。確かに悪くはない…ってあれ?2人のうち1人,俺が今気になってる子やん!え?ちょっと待って。これ上手いことサッカー部マネージャーに誘えたら一気に距離縮まるんちゃうん?洸,お前たまにはいい事言うやん!ナイス!
「いいやん。誘おうや。」
「え?あ,うん。」
なんか俺の反応に戸惑ってる。なんでやねん。
「お前,いつもそんなんやっけ?」
「何が?」
「いやぁいつも『いきなり知らん女の子に話しかけんな!』とか言ってくるからさ。今日はやけに乗り気やなって思っただけ。」
「そうか?俺いつも通りやと思うけど。」
洸…お前ホンマいらんときだけ感鋭いよな。なんやねん。ガチで。
「いいやいつも通りちゃう!いつも俺のことやめとけって止めてるもん。もしやお前,あの中に好きな子おるな?」
なんでこういう時だけ分かんねんコイツ!
「はぁ?何言ってんの?おる訳ないやん。」
「いいやおるなこれ。どっち?あ,でも伊織ほんわかしてる感じの子が好みやから背が低い方か。なるほどなぁ。」
クッソォ…。いらんときだけ賢くなるんホンマなんなん?こいつの脳どうなってんの?エスパー?
「いいやんか!あの子可愛いし。それにお前の前の席の子やろ?」
「ッ…。」
見事に全て当てられて返す言葉が見つからんのが悔しい。
「あ,図星?いいやんいいやん。俺応援すんで。」
「あーそうですかぁ…、どうも。」
「ほら,声掛けてきいな。早よ早よ。」
「ちょ押すなって。てかこういうの俺よりお前の方が得意やろ。」
「早よ行って来いって。お前が声かけて来い。大好きな子とお話しできるチャンスやで?ええん?これ逃して。」
あーーー!!クッソォ!!!!そういうのやめろって!俺は今日こんなんで洸に負けるのが勉強で負けるよりよっぽど悔しいってことが分かった。
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