【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「……部長、今度は私何をやらかしました?」
コピー機の横の小さな会議室に呼び出されてすぐ、一枚の紙を手渡された。
「これ、芳野が作ってくれたんだって?」
それは…今月社員に配布される社内報の中で私が初めて担当させてもらったページのコピーで、、
「色使いや文字のバランスのレイアウトなんかはとても見やすくて素晴らしいと思う。」
「……本当、ですか?ありがとうございま、」
「でも、それだけ。これはとても社員に配れるような物じゃない。一度自分の目でよく見てどこが悪いか考えてみて」
部長に言われ、自分の作ったページに目を通す。
近年、流行病のせいで社内行事が制限されたりしていたらしく…同じ会社に勤めていても部署が違えば顔も名前も知らない社員がほとんどだ、ということを理由に─…毎月、数名の社員をピックアップして顔写真と軽いプロフィールを載せているウチの会社の社内報。
入ったばかりの私が発注や納品書の管理や作成はまだ早いので、社内で配布される物を…という部長の提案から生まれた私の初仕事だった。
「……二人目の製造部の社員のところ。家族構成の欄に、”妻が二人と子ども”って─…いくら入力間違いにしても酷すぎる。」
……おっしゃる通り過ぎて何も言えない。
妻と子ども二人、っと入力したつもりだった。