【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「お、おかえりなさい……折原部長!」
「あぁ…ただいま。芳野もお疲れさま」
何気ないそんなやり取りがキュンキュンする。カップル同士の会話では無いことは明白だが、ただの上司と部下では無いというのもまた確かだ。
「夕飯はカレー…?」
なんて、ネクタイを緩めながら近寄ってくる姿は乙女が一度は見てみたいと憧れるシチュエーションランキング殿堂入り上位にランクインするような萌え行動。
それを息をするように無意識に出来てしまう一弥さん、マジで紳士すぎてエモい。
「……芳野?」
「っ、すみません……部長の色気が半端なくて、一瞬異世界に飛んでしまってました」
「……なんて?」
「あ……いえ、ナンデモナイデス。まだ時間が掛かりそうなのでお先にお風呂へどうぞ」
さっきまで部長の好きな人のことで頭がいっぱいだったのに、実際に顔を合わせてしまうと…全てどうでも良くなってしまう私は相当部長に溺れてしまっているようだ。
そのままお風呂場へ向かうかと思いきや…手をこちらに伸ばしてきた部長は、慣れた様子で私の頭にポンっと手を乗せると─…
「……沙奈が異世界に連れて行かれなくて、良かったよ」
なんて破滅ワードを口にしてからリビングを後にした。