【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜


「……芳野…?大丈夫か?」


紳士的な折原部長が物音を聞いて無視するはずもなく、すぐに階段の中腹部まで上がって声をかけてくれるものの、、正直今はそっとしておいて欲しかった。



「だ…だいじょーぶです」


笑いながら振り返った時、部長の目が少しだけ見開かれたような気がした。



「……血が、出てる」


「……っえ?!!」



てっきりショーツから漏れてしまった血液がズボンに染みをつくっているものだと勘違いした私は、慌てて自分の下半身を見て確かめてみる。



「……いや、足元じゃなくて…額っ、」


「……へ…?」



近付いてきた部長が、そっと私のおデコを確かめるように顔を覗き込んだ。



「ここ、切れてるみたいだ。下で手当てをするから降りてこい」



っと、私の手を引いてリビングへ戻ろうとする部長の手を慌てて振りほどいた。今は額の傷よりももっと早急に対応したい案件があるのだ。



「す、少しだけ待ってて貰えますか?すぐに降りるのでっ」


「……いや、先に手当てをした方が良さそうに見える。髪も濡れたままだろ?そのままだと風邪を引く」



離れようとした私の手を再び掴んできた部長。なかなか折れてくれないのでこちらも焦り始める。



「あ…ちょっと取りに戻りたい物があるので、手にしたらすぐに降りるから大丈夫です!」


「代わりに取ってきてやるから、芳野は先に下に降りて待ってろ。……何が必要なんだ?」



──…いや、だからっ、、



「……っ、生理用品を取りに行きたいだけなので一度手を離してくださいっ!!」



恥というものを捨てて正直に暴露すれば、目を丸くした部長は直ぐに私の手を離してくれた。

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