【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「……その女性は、惜しいことをしましたね」
「…そうか?」
「私はあの水沢って社員より、部長の方が魅力的で素敵な男性だと思います」
「……お世辞が言えるようになったとは、芳野も成長したな」
抱きしめられた腕に少しだけ力が込められて…胸がギュッと締め付けられた。
「本音です。だからちょっと複雑です…部長に好きな人が居たなんて知りたくなかったです」
「……嫉妬か?」
「…………そうとも言います。」
素直にそう答えたことが意外だったのか…抱きしめられていた腕が解かれ、身体を起こした部長が私の顔を背後から覗き込んでくる。
「……何ですか、見ないでください。」
「無理な相談だな─…沙奈の顔が見たい」
顔が見たい、と言って私に覆い被さるようにして身を乗り出してきた部長は…そのまま私の唇を塞いでキスを落とした。
「俺がこういうことをする相手は─…沙奈しか居ない」
なんて…ちょっぴり複雑だけど、、好きだった人のことを越えられたような気がして少しだけ優越感に浸ることが出来た。