【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「少し前から芳野に対する立花の態度が気になってた。不器用な芳野に対して立花が一方的にイラついているだけなら放っておけば時間が解決すると思ってたが…そうじゃないんだろ?」
「お気遣いありがとうございます…でも大丈夫なので大事には、」
「大丈夫…って、便利な言葉だが。そうじゃない奴ほどそれを口にすることが多い」
深くため息をついた小田切課長は、私から視線を外し伏し目がちに続ける。
「……以前、こことは別の職場で勤めていた時に同期たちに酷い扱いを受けていた部下が命を絶とうとしたことがあった」
「…………え…?」
「幸い未遂に終わったが、彼女は退職して…それ以降、気を病んで部屋に籠るようになったと人伝いに聞いた。」
社会人一年目で病んでしまう人が少なくないのはよくニュースなんかで目にするが…現実に起こったリアルな話を聞くと怖くなった。
「情けない話、俺は彼女が病んでいることに全く気付いてやれなかった。それどころかミスをする度に責め立てて、大声で怒鳴りつけるような最低な上司だったよ…本当に。」
あまり人に対して興味が無さそうで、部長以上にドライで口数が少ない小田切課長。そういう性格の人だと思っていたけど…あえて人と関わるのを避けていたのかもしれない。