【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
視界が歪んだ瞬間、もう誰も信じられないような気持ちになってきて…そのままフロアを飛び出してエレベーターまで走った。
ボタンを連打して、目の前で開いたエレベーターに乗り込み1階に着いた途端、全力で走って会社を出た。
荷物も持たずに飛び出したが、幸いスマホはスカートのポケットに入っている。
それから…部長にもらった合鍵を大事に胸ポケットにしまっていたのでこのまま家に帰ることも出来る。
逃げ出したところで帰る場所なんてひとつしかない。不動産を回ろうと思っていたが、結局まだ実行出来ずにいたのだ。
部長が出張に行ってから今日で三日目だが…今日帰ってくるのか明日帰ってくるのか分からない。だからすぐに顔を合わせることはないだろうと思い、迷うことなく部長と暮らしている家に帰った
外から帰ったらまず手洗い、なんてことも今は飛ばして…部長が不在の中、申し訳ないと思いながらも、スーツ姿のままいつも寝ているベッドに潜り込んだ。
ちゃんとシーツも布団カバーも…部長が帰ってくる前に洗濯して乾燥機にかけるから、、部長の匂いが残るこの布団の中で一人泣くことをどうか許して欲しい。
「……っ、うぅ」
社内で泣かなかっただけ偉いと誰か褒めて欲しい。本当はここ最近ずっと苦しかった、大声で泣き喚いてスッキリしたかった。
でも、泣いたら負けのような気がして…必死で自分を奮い立たせようと前向きで生きることに、、疲れた。ブラック企業?いや、それは違う。
私が不適合なだけでみんな笑って仕事をしている。去るべき人間は皆の足を引っ張る存在の私なのだと、ずっと前から分かっていたはずなのに…
どうして自分は頑張れる、なんて思ってしまったのだろう。思えば入社式に遅刻したあの日から、既に私の居場所なんて無かったのかもしれない。