【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
〜side 一弥〜


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韓国に出張に来て三日目。本当は朝から最後に韓国支社に出向いて挨拶をしてから午後の飛行機で帰国する予定だったが、、常務に無理を言って、一足先に朝の便で帰国させてもらう事にした。



理由はただひとつ、、芳野……いや、沙奈のことが心配だったからだ。



一昨日のメッセージのやり取りを最後に連絡がつかなくなった沙奈。気になって昨日の夜、小田切にさりげなく探りを入れてみれば、、



【お疲れ様です。目立ったトラブルもなく、みんな定時で帰らせました。一人、芳野さんが体調不良で早退しましたが、入れ替わりで出張帰りの立花さんが定時まで残ってくれたので…特に支障なく終了しました。】



なんて。気になることを言われてしまうと、すぐにでも帰りたくなったが…国境を越えてしまっている以上、夜のうちに帰宅するなんて不可能で。



朝まで我慢したが、さすがに昼まで放置することが出来ず「日本で急ぎの仕事があるので…」っと嘘をつき、朝の便で帰る許可を得たという訳だ。




その間、何度も沙奈に連絡を入れたが…返信が来ることはなく送ったメッセージに既読の文字も付かないままだった。




よほど体調が優れないのか、と心配になったが…別の意味での不安もあった。




俺が留守の間に、他の男のところへ行ってしまったのかもしれない…なんて。漠然とした想像に過ぎないが、まだ若くて可愛らしい沙奈がモテないはずが無い。



社会人として有能になりたい、という沙奈の願いを満足に叶えてやれていない自覚はある。



それに──…



毎晩、夜を共にしているが一度も最後までシてやれなかった俺に嫌気がさして、、他の男のところへ行ってしまってもおかしくは無いように思えたからだ。



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