【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「お疲れ様です、折原部長。課長をお探しですよね…?いま会議室で電話の対応をしてくださっているみたいで、、」
コピー機の横の会議室をチラっと見ながらそう告げた彼女は気まずそうに続ける。
「実は先程、取引先から発注ミスの連絡が入って…明らかに数がいつもと違ったので先方が確認のために連絡を下さったんですが、そのことで少し部署内の雰囲気が悪くなってしまって……」
「……向こうが気付いて連絡をくれたなら、それほど大きなトラブルに発展したようには思えないが。一体何があった?」
「最初に電話を受けた男性社員が”この発注書を作成したのは誰だ”って犯人探しをするような声をあげたのがきっかけで。結果…書類を作ったのが芳野さんだったみたいでっ、みんなで芳野さんのことを責めるような雰囲気になってしまって、、」
──…いま、なんて言った?
耳を疑うような話が聞こえてきて、一瞬我を失いそうになった。
「その後、すぐに課長が芳野さんに声をかけようとしたんですが…泣きそうな顔をしてフロアを飛び出して行ってしまって…それから、いくら連絡しても繋がらないんです」
自責の念を感じているのか、不安げに俺に報告してきた彼女を責めるような真似はしないが。本音を言えば今すぐに怒鳴りつけてやりたい気分だった。