【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「それでっ、課長がずっと芳野さんに連絡を入れているみたいなんですけど…全然繋がらないみたいで、、」
トラブルがあったという報告を会議室に籠って小田切がどこかと連絡を取り合っているのかと思っていたが。まさか芳野に直接連絡を入れていたとは。
小田切は前に勤めていた職場で、部下が自殺未遂を図ったことがある…と言っていたのを覚えている。
理由までは知らないが、その部下と芳野の姿が重なって見えていたのだとしたら…おそらく小田切も冷静では居られなかったのだろう。
「……それで?芳野が作ったという発注書は?」
「課長が、持っていると思います」
女子社員に仕事に戻るように告げてから、小田切が一人籠っている会議室へと足を進める。ノックをしてから返事を聞くことなく中に足を踏み入れ…案の定、頭を抱えて項垂れている小田切の手元にある一枚の用紙を手に取って目を通す。
「……部長っ、お疲れさまです、、」
俺を見るなり慌てて立ち上がった小田切を横目に、目の前の発注書を見て…失望した。
それは、発注書を作成したという疑いをかけられて無断で会社を飛び出した芳野に対してではなく…自分が突然出張に出ても、何の心配もなく仕事を任せられると信頼していた総務部の社員全員に対して─…心から、失望した。