【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜


小田切との話を切り上げ、会議室を出れば…こちらの様子が気になっていたのか何人もの社員と目が合った。



「─…全員、一度手を止めてくれ」



社員全員に聞こえるように声を張ってそう伝えると、ピタリと動きを止めた彼らの視線を一斉に浴びる。



「まず、俺が留守の間…大きなトラブルもなく業務を円滑に回してくれたことに対して礼を言う。ありがとう」



頭を下げた俺に対して、何人かの社員がつられて同じように頭を下げたのを見届けてから…先程、小田切の手元から奪った発注書を全員に見えるように広げて見せた。



「その上でひとつ言わせてもらうが─…これは芳野が作成したものじゃない。」



怒りで手が震えそうになるのを必死で堪え、何とか冷静を保ちながら言葉を続ける。



「仮にもしこれが芳野が作ったものだとしても、これをそのままFAXで送るような真似はしないだろう。こういう大事な書類を任された時の芳野は必ず俺か小田切に一度確認しにくるから…ミスがあれば未然に防げたはずだ。」



まぁ…いつまでも確認しに来るようだと仕事が回らなくて困るが。入社一年目で不器用な彼女にそれをするなというつもりはない。



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