【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「やっても無いことで責められ、誰にも話を聞いてもらえない。そんな職場で…誰が働きたいと思う?黙って出ていった芳野の行動は褒められたものでは無いが、俺は彼女が間違っているとは思わない。もちろん、今ここに居る君たちを責めるつもりもない」
……だが、許すつもりもない。
「ただ、誰か一人でも彼女に寄り添って話を聞いてやることが出来ていれば…今も芳野はここで一緒に仕事を続けられていたかもしれないと思うと部下を信頼して出張に出た自分が愚かだったと、心から残念に思うよ。」
もちろん…同期の女子社員から酷い扱いを受けていたことを知らずに、毎日同じ家で暮らしていた俺も同罪だが。
「それを踏まえて、今後は皆で協力して仕事に取り組んで欲しい。……話は以上だ、業務を続けてくれ」
立花が作成したと思われる発注書を、小田切に手渡し…芳野の鞄を手に取ってそのままフロアを後にした。
元々、帰国した後は直帰していいという話だったので…このまま真っ直ぐ帰らせてもらうことにした。
なんの根拠もないが…芳野はウチに帰って居るような気がしたから、今すぐ帰ってやりたかった。
エレベーターを待っていると、小走りで俺の元まで立花が駆け寄って来るのが見えた。
「……どうしてっ、言わなかったんですか?あれを作ったのが私だって…ご存知なんですよね?」
「言っただろ?誰が作ったものか、なんて問題じゃない。はっきりとした証拠もない。俺はただ芳野の名誉の回復をしてやりたかった…それだけの事だ」
「出張先で…私の誘いを断ったのも、芳野さんが関係してます?」
「そうだとしても、それは立花には関係の無い話しだ。仕事に関してことは目を瞑ってやるが、プライベートでアイツに何かしようと企んでいるなら─…許さない」
お前一人、辞めさせることなんて俺には簡単に出来るんだ…っとまでは言わないが。異動させたり他部署に追いやったり、、立花を追い出す方法なんていくらでもある。