【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
とはいえ、彼女にも挽回のチャンスを与えてやるのが上司としての俺の役目だということもちゃんと理解している。
「……芳野はいつも”立花みたいになりたい”と言って君のことを慕っていた。彼女がまた出社することがあればその時は、君の優秀な知識を少し分け与えてやるつもりで…共に協力し合えるような関係になればいいと俺は思っている」
「………分かり合えるとは思えません」
「人に教えることで、立花自身も何か得るものがあると思う。これを機に…君が生き方を変えることを願ってるよ」
この言葉を立花がどう受け止めたのかは分からないが、俺の中では今後この女を芳野に近付けるつもりは一切ない。
立場上、綺麗事を並べて円満にことが済むように長々と語ったが…本音を言えば立花にはすぐにでも辞めて貰いたかった。
おそらく、前の職場が続かなかったのも人間関係の縺れだろうと彼女を見ていて日々感じるものがあった。
こちらからわざわざ何か言わなくても、彼女の方から辞めると言い出すのも時間の問題かもしれない。
冷たいことを言うようだが、輪を乱すような存在はウチの部署には必要ない…優秀で仕事の出来る社員よりも、信頼のおける部下のことを俺は大事にしたいと思っている。