【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
っと、ここまでは総務部長である俺の考えであって…沙奈のこととなるとまた話は変わってくる。
よくもまぁ、俺の大事な人を傷つけてくれたもんだ…と大声で怒鳴りつけてやりたいところだったが、今の俺にそんな発言をする権利は無い。
……ずっと、沙奈に黙っていたことがある。
本当は今日自分の気持ちを伝えて、隠していたことを沙奈に打ち明けようと思っていた。
それが、まさかこんな非常事態に陥っているとは思ってもみなかった。帰ったらまず、傷ついて泣いているであろう彼女のことを抱きしめてあげよう。
「……沙奈、、」
既読のつかないメッセージトークを眺めながら、タクシーで帰宅する。
辛い時、傍に居てやれなかった俺の事を…沙奈は許してくれるだろうか?そもそも、本当にウチに帰ってきているのか?
いくつも不安を抱えながら、見慣れた自宅に到着し…緊張で少し手に汗を握りながら玄関の鍵を回した。
ドアを開いて真っ先に視界に映ったのは、沙奈がいつも履いているローヒール。玄関に揃えてあるそれを見て…手に持っていた荷物をその場に放り投げて真っ直ぐ2階の寝室に向かった。