【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
静かすぎるこの空間に、やけに響いたバイブ音は…クローゼットの外に居た何者かにも聞こえたのか、、
足音が徐々に近付いてくるのが分かった。
──…終わった、殺される
ウォークインの扉が開かれたことにより、真っ暗だったクローゼットの中に光が差し込む。ハンガーで吊るされたスーツとスーツの間で祈るようにして隠れていた私は、、
「……沙奈っ」
一瞬、幻聴かと思い…閉じていた目を開いて視界に入った侵入者の顔を見て驚いた。
「……ぶちょー…?」
スマホを片手に、弱々しい声で私の名を呼んだのは紛れもなく折原部長で。なぜここに居るのか、と尋ねようと一歩足を踏み出した瞬間…腕を引かれ、力強く抱き締められた。
「あ…あのっ、部長……」
「良かった…家《ウチ》に、居てくれてっ」
その言葉に…止まっていたはずの涙が再び頬を伝う。
「……怒ってますよね?私を連れ戻す為に、帰ってきたんですか…?」
「ああ…怒ってるよ、、芳野。お前に大事な話しがある。」
クローゼットの中から出され…いつも夜を共にしているベッドの近くまで行くと、、そのまま押し倒されて上から見下ろされるような体勢になった