【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「仕事を頑張ろうと努力してる芳野の邪魔をしたくなかった。上司である俺から思いを伝えられたら…社会人として平等に扱って欲しいと願う芳野のことを裏切るような気がして、言えなかった」
「それはっ…また別の話しで、、」
「あぁ…だから、待つつもりだった。有能な人間になりたいと願う芳野の気が済むまで…待とうと思ってたんだが、、出張前…お前と小田切が二人きりで会議室に籠っているのを見て、もう無理だと思った。勝手だが…さっさと思いを打ち明けて、俺の事だけを考えて欲しいと思ったんだ」
頬を伝う涙を指で掬い、何度も髪を撫でてくれる部長。その手が温かくて…心が満たされていく。
「……いいんですか?私、お金も家も何も無いどころか、無能で役に立たないダメな社会人ですけどっ、」
「金も家も俺が持ってるから必要ない。お前を無能だと思ったことはないが…知らないことがあるならこれから先俺が何でも教えてやる」
「じゃあ…これからもここに住んでいい?私も部長に、大好きって伝えてもいいの?」
「あぁ…沙奈が俺を受け入れてくれるなら。これから先ずっと、ここはお前の帰る場所だ」
帰る場所だと言って貰えたことが嬉しくて、身体を起こして部長に思い切り正面から抱き着いた。