【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
ハンカチを手にして御手洗に向かい、アルコール達を出来るだけ吐き出したあと…そのまましばらくトイレの個室でボーッと座って過ごした。
そろそろ出ようかと思ったタイミングで、、
「あー…結構酔っちゃったかも、、帰りたいけど新人のウチらがそれ言うのはナシだよね」
「大丈夫…?もう少しでお開きだろうけど、無理しちゃダメだよ」
会話の流れと、聞き覚えのある声からして…同期だと思われる女子社員たちの登場により、出るタイミングを失い…そのままその場で彼女たちが去るのを待つことにした。
同期とはいえ、入社式に遅刻した私は…上手く彼女たちと打ち解けることが出来ず挨拶を交わす程度の仲だった。
ので…早く出ていって欲しいな、と思いながら扉に頭を預けて目を閉じた時─…
「………いいよね、芳野さんは」
っと、不意に自分の名が聞こえた気がして……閉じていた目を再び開いた。
「あー…ミスしても怒られたりしないってやつ?総務の先輩が言ってたね…芳野ちゃんは可愛いから何しても許せるって」
「まぁ…可愛くて当たり前だよね。だってあの子、顔採用でしょ?ウチの部署の先輩が言ってたんだけど、毎年何人かビジュアルだけで採用される社員が居るって」
「部署内の癒しキャラポジ的な?男性社員のモチベあげるために顔採用枠があるって聞いたことあるけど、まさかウチの会社にも存在したとは」
「いやだって、顔採用じゃなきゃ有り得なくない?まともにパソコンも扱えない無能な人間が総務に採用されるとか、ナイでしょ。」
「……ウケる、そのうち自分の無能さに気付いて辞めるだろうね。総務の枠が一つ空いたら異動願い出そうかなぁ」
「えー…それ絶対、折原部長狙いっしょ?」
「………バレた?」
………