【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「…酔ってないです、ちゃんと意識もあります」
「既に目が虚ろで、顔も赤い……」
「……こーいう顔なんです」
「帰った方がいい、送ってやるから…支度しろ」
部長はお酒を飲んでいなかったみたいで…他の部署の部長たちに声を掛けて、私の荷物と上着を手にして戻ってきた。
「……芳野、荷物はこれで全部か?」
黙って頷いて見せると、いつもの呆れたような表情を浮かべながら私の手を取ってその場を立ち去ろうとする。
すると佐藤さんが駆け寄ってきて─…
「あらら…芳野ちゃん、潰れちゃいました?」
「あぁ…うちの部署の新人は芳野だけだから、その分飲まされたんだろうな。俺も含め他部署の部長達も今日は酒を飲んでないから…責任を持って彼女を家まで送り届ける」
「確かに、他の社員に預けたら大変なことになりそうですし…部長は簡単に女子社員に手を出さないことで有名なので、安全枠ですね」
「……佐藤、君も酔っているみたいだが…一緒に送ろうか?」
「いえっ、大丈夫です!私は二次会まで参加予定なので……芳野ちゃんのこと、お願いします」
誰か目当ての男性でも居るのか…佐藤さんはすぐに私たちに背を向けて宴の場に戻っていってしまった。