【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
車を発進させる前に、部長は私と向き合って相変わらず呆れたような表情を浮かべながら口を開いた。
「今日はマンションの下まで送るから、近くなったら場所を案内してくれるか?」
一刻も早く帰りたい、という気持ちは部長も同じなのか。急かすようにそんなことを言ってくるもんだから……
少し、困らせてやりたくなった。
「……嫌、ですっ」
「…下まで車で送るだけだ、中に上がり込むつもりも一緒に車を降りるつもりもないから、、」
「………っり、たく…なぃ、」
「……悪い、今なんて、」
「帰り、たくないですっ……憂鬱な夜、過ごしたくないからっ…もう少しだけ、、一緒に居て欲しいです」
部長の目が大きく見開かれたのを見て、あぁ…引かれてしまった…と悲しい気持ちになった。
酔っているという自覚はある、でもこれはちゃんと自分の意思で…ハッキリと意識があって言葉にしたものだ。
酔いが覚めたから忘れるなんてことはないだろうし、後悔をすることもないと思う。……むしろ、よくやったと褒めてあげたくなることだろう。