【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
フリーズして固まった私を見て、部長は少し慌てた様子で掴んでいた手を離す。
「……幸い、芳野には俺が男として不能だってことを既に知られている。だから一緒に住んだところで何も問題は無いと思って提案してみたが…」
「い、いいんですかっ?!」
何だか″やっぱり無しで″と言われそうな気がしたので、前のめりになって食い気味で部長に詰寄る
「まぁ…世間知らずの芳野をこのまま野放しにして、今よりもっと取り返しのつかない事態に陥るようなことは避けたいからな。資金が安定して、芳野が社会人として上手くやっていける自信が持てるようになるまで…面倒を見てやってもいい」
突然、舞い降りてきた…部長との同棲生活案件。そんな美味しい話を、お断りする理由なんてあるはずが無い。
……とはいえ、一緒に住まわせてもらえる上に、パソコンの知識や社会人としてのマナーを伝授してくださる部長に対して何も返さないなんて…申し訳なさすぎる。
与えてもらうばかりではなく、対等に…お互いにメリットがある同棲生活にする為には、私は部長に何を捧げればいい?
お金も学力も、何もかも部長より劣る私が…部長の為に役に立てることなんてあるはずが、、
──…ない、ことも…無いな?
あるじゃないか、部長の為に私がデキることが。