【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
同棲、スタート



「……部長って、お金持ちですね」


自宅に案内されてまず第一声出た言葉がそれだった。…まさか一軒家に住まれていたとは。



「人それぞれ…価値観の違いはあると思うが、俺は家賃を払うことは無駄だと思う主義の人間だから…同じように毎月支払うなら資産として残る持ち家を購入しようと思っただけだ。」


「なるほど…確かに家賃を払い続けても、その部屋が自分のモノになることは無いですもんね」


「いずれ結婚して子どもが出来た時に一軒家があれば役立つかと思ったが、それは叶いそうもないからな…部下や友人が困った時に空いてる部屋を貸してやろうと考えてた─…今の芳野みたいに」



……それは、なんかちょっと嫌だな。



部長と2人きりの同棲生活なら楽しみでドキドキするけど、そこに他の社員が割り込んできたら…ややこしい事になりそうだ。



「……まだ、結婚も子どもも望みはありますよ」


鍵を回して、玄関扉を開いてくれた部長に「お邪魔します」と声を掛けてから背の高い彼を見上げて視線を合わせる。



「部長の呪い…私が解いてあげるって、言ったじゃないですか。諦めるのはまだ早いです」



ムッ…と膨れてそう言って見せれば、一瞬目を見開いた後、頬を緩めて微笑んだ部長に…こちらの心臓が持ちそうになくて慌てて目を逸らした。




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