【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜


胸に手を当てて、大丈夫だ…と言い聞かせながら9階で開いたエレベーターの扉を抜けてフロア内に出ると、、



同じようにスーツを着た社員たちが既に業務についている姿が視界に入り、心臓がキュッと締め付けられた。



(……どうしようっ、どこに向かえば、、)



っと、早くも狼狽えて社会のゴミ化している私を救うような天の声が、、



「……芳野、さん?」



聞き覚えのある低音ボイスが鼓膜を揺らし、縋るような思いで顔を上げて見れば…スーツが良く似合う、長身でスタイルのいい男性がこちらを見て立っている。



「あ…あの、私……今日から、、」


「…芳野 沙奈さん、で合ってる?さっき電話で話した折原だが…分かるか?」



折原、、と名乗った目の前の男性が想像以上に若くて驚愕した。部長というほどの人だから、勝手に中年くらいの男性を想像していたのに……



パッと見た感じ、30代前半くらいで…おまけにとんでもなく─…顔が、良い。


艶のある漆黒の髪は整髪料を使ってきっちりとヘアセットされていてサイドに流されている前髪が清楚な印象を与えている。

整えられた形のいい眉にあるキリッとした切れ長の瞳に見つめられると…なんだか先程とは違う意味で胸がザワザワと騒いだ。


───デキる男感が半端ないです、部長。

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