【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
流石にすっぴんボサボサヘアで、再び部長の前に姿を晒すことも出来ないので。
素早く昨日着ていたスーツに身を包み、洗面所をお借りして軽く身なりを整えてからリビングへと向かった。
「なんだ、もう着替えたのか」
キッチンで料理をしている部長を見て、この姿をこの先見る女性は私が最後になればいいのに…と本気で思った。
「部長、料理するんですね…」
「基本インスタントで済ませてるから…キッチンに立つのは随分久しぶりだ」
私のために料理をしてくれている部長。尊い。
二日酔いの私のことを思ってだろう、卵雑炊を作ってくれた部長。お酒を飲んでいなかった部長は通常モードのはずなのに、私に合わせて一緒に遅めの昼食に雑炊を食べてくれる。
「家にあるもので作れるのがこれだった…品数が少なくて申し訳ない」
「そ、そんなことないです!作って下さりありがとうございます…有難くいただきます!!!」
正直に言うと、薄味すぎてあまり味がしなかった。それは彼が普段料理をしないことを証明していて…不器用なりに精一杯作ってくれたことが嬉しくてそれだけで何杯でも食べられそうな気がした。