【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜


「……お、折原部長!!先程はご連絡いただき、本当にありがとうございました。本日よりお世話になります…芳野 沙奈です。初日早々、遅れてしまい誠に申し訳ございませんっ」



”お辞儀の角度は90度!!!”っと、就活中にみんなでよく唱えていた呪文のような言葉を思い出し腰を折り曲げて部長に謝罪してみせると、、



「誰も君を責めたりしない。顔を上げてくれ…」



と、優しいお言葉をくださった部長は─…



「初日から災難だったな…前の車両が事故を起こした、と電話で言っていたが…長時間、車内に閉じ込められていたんじゃないか?それにしても、事故を起こした車両に乗り合わせて居なくて良かった。気分はどうだ、何処もケガはないか?」




なんて…これまでの人生でこんなにも器の大きい大人な男性に出会ったのは初めてかもしれない。



人の上に立つ、という資質を持ち合わせた人なのだと…会って早々に思い知らされる。この人はきっと─…信頼出来る人だ。




「……ケガはないです。お気遣いありがとうございます」


「そうか…ならこのまま君のことを他の社員に紹介させてもらってもいいか?この後すぐに昼休みに入るから…その前に顔を合わせておいた方がいいだろ」



確かに、昼休みに入ってしまう前に他の社員の人と顔を合わせておきたい。力強く頷いて承諾の意志を示し、先を歩く部長の後に続いて部署の中へと足を踏み入れた。


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