【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜


「─…全員、少し手を止めてくれるか?」


部長の一声で、社員の方々の動きが一斉にして静止する。



「彼女が、朝礼で話した新入社員の芳野 沙奈さんだ。初日早々、大幅な遅延に巻き込まれて精神的に参ってるだろうから…皆でサポートしてやって欲しい。自分が新卒の時のことを思い出せば、彼女の気持ちを理解できるだろ?」



部長の言葉を聞いて頷いている社員の方が沢山いるのが見えて…もう既に泣きそうになってきた。



「……何か、話しておくことはあるか?」



っと、私に発言する機会を与えてくれる折原部長。その優しさに感謝しながら、再び腰を折り曲げて90度の姿勢を保つ。




「芳野 沙奈ですっ…初日早々に遅れてしまって申し訳ございません!その分、仕事でお返しできるよう頑張りますので…ご指導のほど、よろしくお願い致しますっ!!」



緊張のあまり早口になってしまったが、すぐ隣で部長がパチパチと手を叩いて拍手してくれたことにより、他の社員の人達も手を叩き始め……



大幅に遅刻した私の初出勤は、折原部長のおかげでひとまず無事に終えることが出来そうだった。


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