【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「では…先に出ますね?」
「あぁ…気をつけて、何かあったら連絡しろ」
「……行ってきますのチュー、しましょうか?」
「……もう今の俺は、お前の上司なんだが、、」
「…………お先に失礼致します」
「あぁ、早く出ないと遅刻するぞ」
先程までのまったりモードは既に消滅。すっかり部長スイッチが入ってしまった折原部長の前でこれ以上おふざけは出来ないと判断し─…
逃げるように家を出て駅まで早足で歩いた。
(秘密の社内恋愛スタートだっ…緊張する、、)
なんて、勝手に一人で恋愛モードに入っていたのだが…舞い上がっていたのは私だけだったみたいで。
緊張しながら職場に着いて、いつも通り朝の仕事を始めているところにやってきた部長。さっきまで一緒にいたのに、社内で見る彼はまるで別人のように見えて……相も変わらずとても眩しい。
……私、昨日あの人とベッドで、、
っと如何わしい映像が脳裏で再生されている私とは違い、いつも通りのポーカーフェイスでデスクに着いてすぐに仕事を始める部長。
その間見ているのは私の方だけで、視線が交わることは一度もなかった。
ひとつ屋根の下で同棲を始めたところで…彼のハートを射抜くことは簡単では無いみたいだった。