神殺しのクロノスタシス2
思い出すだけでも、大変な事件だった。
深夜なので、病院も大半が閉まっていて、診察してくれない。
それなのにアトラスは、関係なしに病院のドアをどんどん叩きまくり。
ここが駄目なら次とばかりに、別の病院に走り。
そこでもまたどんどんやって、やっぱり駄目となればまた別の病院に走り。
それを何回か繰り返して、ようやく夜間診療を受け付けてくれる小児科に、アイナを運び込んだ。
聞くところによると、「うちの娘を助けてくれ」と土下座したらしい。
聖魔騎士団団長が。
病院スタッフ、全員唖然。
「とにかく落ち着いて。と言うか深夜に風邪を引いた子を連れ回す方が危ないから」と正論を言われ。
まぁ、結局その病院がアイナを診てくれたのだが。
普通にただの風邪だった。
ちなみにその間、俺とシルナは大変だったのだ。
脱兎のごとく走り出したアトラスを探し、あちこち走り回っていた。
診療時間外だというのにドアをどんどんノックされ、アトラスの被害者にされた気の毒な小児科病院から、次々連絡が入ってきた。
あまりに激しくドアを叩かれたものだから、「空き巣じゃないのか」とか、「うちの病院に不審者が」とか。
それは間違いなくアトラスの仕業に違いないと、連絡を受けた病院に行くも、そこにアトラスの姿はなく。
かと思えばまた別の病院から連絡が来て、「たった今、何者かがうちのドアを破壊していった」と震え声。
慌ててその病院に駆けつけたが、やっぱりそこにアトラスの姿はなく。
延々と、夜中中そんないたちごっこを繰り返した挙げ句。
最終的に、「後遺症が!後遺症が残るから治してくれ!」と血相変えて叫びまくる男がいるから助けてくれ、と半泣きの連絡を受け。
慌てて駆けつけると、そこにアトラスを見つけた。
シルナの余計な一言のせいで、とんだ大迷惑。
俺とシルナで必死に説得するも、愛娘のこととなると冷静さの欠片もなくなるアトラス、全く耳を貸さない。
ってかその頃にはもう、アイナ、熱下がってけろっとしてた。
本当に、ただ遊び疲れて熱出しちゃっただけだったんだと思う。
で、最終的にどうなったかと言うと。
もうアトラスが全然言うこと聞かなくてお手上げで、俺達は遠方に出張中だった、最終兵器シュニィを、緊急召集し。
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしたシュニィの「いい加減にしなさい、恥ずかしい!」の一喝で、ようやく正気に戻り。
元気になったアイナともども、アトラスも自宅に連行されていった。
その後シュニィは、アトラスが深夜に突撃した小児科病院に、菓子折り片手に頭を下げて回ったとか。
怪力のあまりぶっ壊してしまったドアも、当然弁償。
結果、アトラスはシュニィに死ぬほど怒られ、一週間くらいしょぼーんとしていた。
そりゃ怒られるわ。
あのときくらいだな。アトラスが元気をなくしてたのは。
結局一週間たって、可愛いアイナに「おとしゃま、元気出して~。よしよし」と頭を撫でられ、120%元気を取り戻したらしい。
単純な男である。
「…ふふ」
あのときのことを思い出して、俺は思わず笑ってしまった。
今では笑い話だが、あのときは本当大変だったんだぞ。
「…?どうかしました、羽久さん」
「いや…。アトラスのさ、アイナが夜中に熱出した事件のこと思い出して」
「…あれですか。もう思い出さないでください…」
シュニィは、未だに笑い話に出来ないらしい。
そりゃそうだ。
自分の旦那のアホっぷりに、恥ずかしくて顔を上げて歩けないってくらいだったもん。
シュニィの中で、あのエピソードが笑い話になるのは、いつになることやら。
深夜なので、病院も大半が閉まっていて、診察してくれない。
それなのにアトラスは、関係なしに病院のドアをどんどん叩きまくり。
ここが駄目なら次とばかりに、別の病院に走り。
そこでもまたどんどんやって、やっぱり駄目となればまた別の病院に走り。
それを何回か繰り返して、ようやく夜間診療を受け付けてくれる小児科に、アイナを運び込んだ。
聞くところによると、「うちの娘を助けてくれ」と土下座したらしい。
聖魔騎士団団長が。
病院スタッフ、全員唖然。
「とにかく落ち着いて。と言うか深夜に風邪を引いた子を連れ回す方が危ないから」と正論を言われ。
まぁ、結局その病院がアイナを診てくれたのだが。
普通にただの風邪だった。
ちなみにその間、俺とシルナは大変だったのだ。
脱兎のごとく走り出したアトラスを探し、あちこち走り回っていた。
診療時間外だというのにドアをどんどんノックされ、アトラスの被害者にされた気の毒な小児科病院から、次々連絡が入ってきた。
あまりに激しくドアを叩かれたものだから、「空き巣じゃないのか」とか、「うちの病院に不審者が」とか。
それは間違いなくアトラスの仕業に違いないと、連絡を受けた病院に行くも、そこにアトラスの姿はなく。
かと思えばまた別の病院から連絡が来て、「たった今、何者かがうちのドアを破壊していった」と震え声。
慌ててその病院に駆けつけたが、やっぱりそこにアトラスの姿はなく。
延々と、夜中中そんないたちごっこを繰り返した挙げ句。
最終的に、「後遺症が!後遺症が残るから治してくれ!」と血相変えて叫びまくる男がいるから助けてくれ、と半泣きの連絡を受け。
慌てて駆けつけると、そこにアトラスを見つけた。
シルナの余計な一言のせいで、とんだ大迷惑。
俺とシルナで必死に説得するも、愛娘のこととなると冷静さの欠片もなくなるアトラス、全く耳を貸さない。
ってかその頃にはもう、アイナ、熱下がってけろっとしてた。
本当に、ただ遊び疲れて熱出しちゃっただけだったんだと思う。
で、最終的にどうなったかと言うと。
もうアトラスが全然言うこと聞かなくてお手上げで、俺達は遠方に出張中だった、最終兵器シュニィを、緊急召集し。
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしたシュニィの「いい加減にしなさい、恥ずかしい!」の一喝で、ようやく正気に戻り。
元気になったアイナともども、アトラスも自宅に連行されていった。
その後シュニィは、アトラスが深夜に突撃した小児科病院に、菓子折り片手に頭を下げて回ったとか。
怪力のあまりぶっ壊してしまったドアも、当然弁償。
結果、アトラスはシュニィに死ぬほど怒られ、一週間くらいしょぼーんとしていた。
そりゃ怒られるわ。
あのときくらいだな。アトラスが元気をなくしてたのは。
結局一週間たって、可愛いアイナに「おとしゃま、元気出して~。よしよし」と頭を撫でられ、120%元気を取り戻したらしい。
単純な男である。
「…ふふ」
あのときのことを思い出して、俺は思わず笑ってしまった。
今では笑い話だが、あのときは本当大変だったんだぞ。
「…?どうかしました、羽久さん」
「いや…。アトラスのさ、アイナが夜中に熱出した事件のこと思い出して」
「…あれですか。もう思い出さないでください…」
シュニィは、未だに笑い話に出来ないらしい。
そりゃそうだ。
自分の旦那のアホっぷりに、恥ずかしくて顔を上げて歩けないってくらいだったもん。
シュニィの中で、あのエピソードが笑い話になるのは、いつになることやら。