神殺しのクロノスタシス2
はい、では次。

「えーと、『おやつの時間と昼寝の時間を作って欲しいです』」

…。

「よし!作ろう!」

「だから待てってコラ!」

お前は何だ。生徒に頼まれれば、喜んで屋上から飛び降りるのか。

何がおやつと昼寝だ。

「無記名にするから、こんな馬鹿な意見が出てくるんです」

イレース、お怒り。

その気持ちは分かる。

匿名だからな。言いたいこと、何でも無責任に言いたい放題だ。

で、それを真に受けるのが、我が学院長シルナ・エインリー。

「おやつの時間はね…。ぶっちゃけ本気で導入しようと思ってた」

マジ顔でこんなこと言う始末だからな。

お前が食べたいだけだろ。

「これ以上ふざけるなら、脳天に雷魔法落としますよ」

「ちょ、待ってイレースちゃん!早まらないで!」

やっちまえイレース。

「糖分摂取は大事だよ!頭の回転が良くなって、効率的に勉強出来るらしいよ!」

「…」

「それに昼寝も!適度に睡眠時間を挟むことで、集中力が上がるんだって!導入する価値はあると思うけどな!」

まぁ…。一理ある、のかもしれないな。

一部では、マジでそういうこと実践してる地域もあるらしいし。

あながち根拠がない訳じゃないんだろう。

でもなぁ。

「そんな余計な時間入れると、放課後が短くなるぞ?」

「…確かに…」

下校時刻を、これ以上遅くする訳にはいかない。

これ以上余分な活動をする時間を増やすと、その分他を削らなきゃならなくなる。

イーニシュフェルト魔導学院では、放課後に稽古場で魔法の自主練をする生徒が多い。

そういう生徒にとっては、昼寝の時間なんて要らないから、放課後の自主練時間を確保して欲しい、と言うだろう。

「仕方ない。おやつと昼寝は保留だ」

って言うか却下だ。

「…」

しょんぼりするシルナ。

まぁ、あれだよ。

生徒も、本気で昼寝の時間を欲しがってる訳じゃないだろ。

ちょっと言ってみただけだ。そんなに気にするな。
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