神殺しのクロノスタシス2
「今年の避難訓練は何日にしようかな~」

シルナは、何故かちょっとうきうきしながら、カレンダーを眺めていた。

いるか?

避難訓練で、ここまでテンション上がってる奴。

避難訓練が好きって訳じゃない。

単に、学校行事が好きなのだ。

学校行事であれば、何でもはしゃぎ出すんだよ。

卒業式以外は、だがな。

しかしシルナよ。残念だったな。

今回、お前に避難訓練を楽しませはしない。

「没収」

「あぁっ!」

俺は、シルナからカレンダーを取り上げた。

「何するの羽久!避難訓練するんだよ!」

「知ってるよ」

毎年この月になると、避難訓練を行うってことも。

…避難訓練の日取りが決まると、お前がどうなるかってこともな。

だから、今回はイレースと事前に打ち合わせをしてある。

「良いか、シルナ」

「な、何?」

「今回の避難訓練。お前は一切関与させない」

「えぇぇぇ!?」

お気に入りの玩具を取り上げられたみたいな、この顔。

そんなに楽しみだったのか。避難訓練が。

ただの避難訓練だぞ?校庭に避難するだけだぞ。

授業が中断されるから、生徒にとってはちょっと面白いイベントかもしれないけど。

教師にとっては、面倒以外の何物でもないだろうに。

まぁ、それは良い。

とにかく。

「避難訓練は、俺とイレースでやる。お前は生徒と一緒に参加するなり、スルーするなり、好きにしろ」

「何で!?」

「何でかなんて、自分の胸に聞いてみろ!」

毎年毎年、いい加減にして欲しい。

良いか、このシルナ。

避難訓練の日取りが決まったら、楽しみなのか、うきうきしてるのか何なのか知らないが。

授業の度に、生徒に向かって言うのだ。

「来週ね~、来週の水曜日にね、ちょっとびっくりすることが起きるかもよ!」とか。

「明日はびっくりサプライズがあるよ~!何かな~?何だろうね~」とか。

クリスマスを待ちきれない子供みたいに、生徒に避難訓練の日取りを示唆するのだ。

馬鹿か。

事前に避難訓練の日付と時間が分かってたら、避難訓練の意味がないだろ。
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