神殺しのクロノスタシス2

「お前に日付を決めさせたら、事前に生徒にバラすだろ！」

「だって！だって！つい言いたくなるじゃん！」

「それじゃ避難訓練の意味がないだろ！地震やら火事は、いつ来るか分からないんだぞ！」

「だって！いきなり放送で『火事です』って言われたら、皆びっくりするでしょ！」

「だからって、事前に告知してどうするんだよ！」

生徒だって、毎年のことなんだから、この月に避難訓練があることは分かってるよ。

大体、避難訓練では、パニックが起きないように、放送で『これから避難訓練を始めます』って告知してから始めてるよ。

だけど、完全に「この日のこの時間に避難訓練があります」って伝えちゃったら、危機感がなくなってしまう。

「あーはいはい避難訓練ねー」ってなもんで、へらへらと校庭に出るだけ。

だからせめて、日取りと時間だけは、生徒には伝えないようにしたい。

おまけに、このシルナと来たら。

「避難訓練の放送も、今年はイレースがやるからな」

「何で！？私がやる！私がやりたいのに！」

「却下だ！」

こいつの、例年の避難訓練放送。

マジで、危機感ゼロだからな。

普通避難訓練と言ったら、「地震が発生しました。机の下に潜って、指示があるまで待機してください」とか何とか、真面目な口調で言うだろ？

火事の場合だったら、「理科室で火災が発生しました。生徒は教員の指示に従って、速やかに校庭に避難してください」とか。

それなのに、このシルナに放送させると、これが一変する。

まず、去年の例。

「えー、授業中ごめんね！避難訓練始めるよ！地震が起きたので、皆机の下に入ってね！あっ、地震って言ってもそんなに大きくないから大丈夫！落ち着いて行動してね！」

次に、一昨年の例。

「授業中邪魔してごめんね～！火事が起きました！えーっと、場所は…保健室です！火事って言ってもボヤだからね！大丈夫！ハンカチを口に当てて、急がず焦らず、校庭に出てね！校庭で待ってるね～」

だったからな。

こんな避難訓練が、訓練になると思うか？

事の次第を聞いた、ラミッドフルスの鬼教官(イレース)が、こめかみに青筋浮き立たせてたレベルだから。

つーか、ボヤならてめぇで消せ。

危機感がないにもほどがある。