神殺しのクロノスタシス2
「そ、そんな…。私の楽しみにしてた避難訓練が…」

教師が避難訓練を楽しみにする、という。

まずその前提がおかしい。

「良いな、引っ込んでろシルナ。分かったな」

「…私の…私の出る幕は…?」

「ない」

「!!」

涙目になるな、気持ち悪い。

「校庭に出てからの反省も、イレースがやってくれることになった」

イレースは、イーニシュフェルトの生徒にとっても、畏れられる存在。

ラミッドフルスにいた頃のときほどではないものの。

シルナに散々甘やかされたイーニシュフェルトの生徒にとっては、イレースは充分厳しい先生である。

そのイレースが避難訓練を監督するとなれば、少しは気が引き締まるだろう。

そう。緊張感は大事だよな。

その為の避難訓練。

故に。

「シルナは引っ込んでろ。何もするな」

「…!そんな殺生な…!」

「うるせぇ」

今回ばかりは、シルナには何もさせないぞ。

こいつが絡んだら、避難訓練が全く意味を為さないものになる。

「ごめんよ、皆…!私は、君達を救ってあげられなかった…!」

悔しそうに何を言ってるんだ、お前は。

とにかくシルナは無視だ、無視。

泣こうが喚こうが、放っとけ。

そんな訳で。

今回の避難訓練は、イレース主導、俺がその補佐として行う。
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