神殺しのクロノスタシス2
そのとき俺は、いつも通り、学院長室にいた。
「あ~。美味しいねぇチョコレート」
「…」
相変わらず、シルナはチョコに夢中。
この人、もしかして頭の中。
チョコレートで出来てるんじゃね?
「良い午後だねぇ。天気も良くて…。こんなに天気が良いと、ついうたた寝したくなるね~」
そう言って、デスクにぐでーん、と突っ伏すシルナ。
その手には、チョコレートを摘まんでいる。
ご覧ください。
これが、イーニシュフェルト魔導学院の学院長です。
皆で署名でも集めて、こいつ辞任させようぜ。
とりあえず一発ぶん殴るか、と。
思った、そのとき。
スピーカーから、緊急放送が鳴り響いた。
「!?」
これには、シルナだけではなく、俺も驚いた。
何事だ?
すると、スピーカーから、切羽詰まったようなイレースの声が聞こえた。
「授業中失礼します。四階魔導研究室にて、火災報知器が作動しました。生徒達は、教員の指示があるまで、その場に待機してください」
…!
「シルナ、これ…」
「うん…」
珍しく、シルナの顔も強張っていた。
イーニシュフェルト魔導学院の四階に、魔導研究室などない。
そんな部屋は存在しない。
これは、校内に「本物の」不審者が侵入したことを知らせる警告なのだ。
だからこそ、火事が起きたのにその場に待機しろ、なんて矛盾したことを言うのだ。
「すぐ分身送る」
シルナは、校内に何人もいるシルナ分身を動かした。
後で聞いたところによると。
最初に「不審者」を発見したのは、二年生の生徒で。
その生徒が、震えながらイレースに報告し、こうしてイレースが緊急放送を出したそうだ。
「繰り返します。生徒達は、教員の指示があるまで、その場に待機してください…」
イレースは、繰り返し生徒にそう告げた。
これは、避難訓練などではない。
迂闊に廊下に出て、不審者とやらに遭遇し、何かがあったら。
イーニシュフェルト魔導学院の沽券に関わる。
それどころか、生徒の命に関わるのだ。
慎重に、かつ迅速に動かなくては。
「行くぞ、シルナ」
「うん」
急がなくては。
生徒の身に、何かが起きてからでは遅い。
このイーニシュフェルト魔導学院に侵入した「不審者」とやらを、すぐに捕まえなくては。
「あ~。美味しいねぇチョコレート」
「…」
相変わらず、シルナはチョコに夢中。
この人、もしかして頭の中。
チョコレートで出来てるんじゃね?
「良い午後だねぇ。天気も良くて…。こんなに天気が良いと、ついうたた寝したくなるね~」
そう言って、デスクにぐでーん、と突っ伏すシルナ。
その手には、チョコレートを摘まんでいる。
ご覧ください。
これが、イーニシュフェルト魔導学院の学院長です。
皆で署名でも集めて、こいつ辞任させようぜ。
とりあえず一発ぶん殴るか、と。
思った、そのとき。
スピーカーから、緊急放送が鳴り響いた。
「!?」
これには、シルナだけではなく、俺も驚いた。
何事だ?
すると、スピーカーから、切羽詰まったようなイレースの声が聞こえた。
「授業中失礼します。四階魔導研究室にて、火災報知器が作動しました。生徒達は、教員の指示があるまで、その場に待機してください」
…!
「シルナ、これ…」
「うん…」
珍しく、シルナの顔も強張っていた。
イーニシュフェルト魔導学院の四階に、魔導研究室などない。
そんな部屋は存在しない。
これは、校内に「本物の」不審者が侵入したことを知らせる警告なのだ。
だからこそ、火事が起きたのにその場に待機しろ、なんて矛盾したことを言うのだ。
「すぐ分身送る」
シルナは、校内に何人もいるシルナ分身を動かした。
後で聞いたところによると。
最初に「不審者」を発見したのは、二年生の生徒で。
その生徒が、震えながらイレースに報告し、こうしてイレースが緊急放送を出したそうだ。
「繰り返します。生徒達は、教員の指示があるまで、その場に待機してください…」
イレースは、繰り返し生徒にそう告げた。
これは、避難訓練などではない。
迂闊に廊下に出て、不審者とやらに遭遇し、何かがあったら。
イーニシュフェルト魔導学院の沽券に関わる。
それどころか、生徒の命に関わるのだ。
慎重に、かつ迅速に動かなくては。
「行くぞ、シルナ」
「うん」
急がなくては。
生徒の身に、何かが起きてからでは遅い。
このイーニシュフェルト魔導学院に侵入した「不審者」とやらを、すぐに捕まえなくては。