神殺しのクロノスタシス2
…結果を言うと、僕は負けました。
勝てるはずがなかったのです。
『殺戮の堕天使』は、わざと僕ではなく、逃げ惑う村人を襲いました。
僕は、そんな村人を守るだけで必死だったのです。
ただでさえ、少年の治療の為に、疲労を抱えながら。
おまけに、僕は回復魔法は…人の命を救う魔法は得意でも、人を殺す魔法は得意ではありませんでした。
だから、彼を攻撃する暇などなく、ただ逃げ惑う村人を一人でも守るのに精一杯で。
しかし、それも上手くは行きませんでした。
彼の風魔法は射程が長く、僕の防御結界の範囲を難なく越えて、村人の首をはね飛ばしていくのです。
まるで家畜を捌くように、何の躊躇いもなく。
何故こんなことをするのか、頼むからやめて欲しい。
僕は何度もそう言いました。そう叫んだのです。
しかし、あの悪魔には耳がついていませんでした。
ただ淡々と、村人をザクザクと、一人残らず殺していきました。
何であんな、残酷なことが出来るのか。
あの悪魔は、村人を殺し尽くしました。
辺り一帯の村々を、全て破壊し尽くしたのです。
僕を気に入り、可愛がってくれた村長さん達も。
その娘さん達も。
優しい村人達も。
僕は必死に、誰か一人でも助かるよう手を尽くしましたが、無駄でした。
全員を殺し尽くし、誰一人守るべき者がいなくなったとき。
『殺戮の堕天使』は、冷たい目でこちらを見下ろしました。
その顔は、微笑みをたたえていました。
信じられますか?
あれだけ殺しておいて、罪のない人の命を奪っておいて。
自分が殺した人間の、返り血にまみれながら。
あの悪魔は、笑っていたのです。
「…さぁ」
優雅に、両手を広げました。
「これでやる気が出ました?全員殺しましたけど」
「…お前…!」
「あぁ、怒ってる怒ってる。良いですよ、もっと怒って…。僕に怒りをぶつけてください」
最早、守るべきものは何もない。
僕は杖を握り締め、渾身の光魔法を、『殺戮の堕天使』に叩きつけました。
…しかし。
「…この程度ですか?」
勝てるはずがなかったのです。
『殺戮の堕天使』は、わざと僕ではなく、逃げ惑う村人を襲いました。
僕は、そんな村人を守るだけで必死だったのです。
ただでさえ、少年の治療の為に、疲労を抱えながら。
おまけに、僕は回復魔法は…人の命を救う魔法は得意でも、人を殺す魔法は得意ではありませんでした。
だから、彼を攻撃する暇などなく、ただ逃げ惑う村人を一人でも守るのに精一杯で。
しかし、それも上手くは行きませんでした。
彼の風魔法は射程が長く、僕の防御結界の範囲を難なく越えて、村人の首をはね飛ばしていくのです。
まるで家畜を捌くように、何の躊躇いもなく。
何故こんなことをするのか、頼むからやめて欲しい。
僕は何度もそう言いました。そう叫んだのです。
しかし、あの悪魔には耳がついていませんでした。
ただ淡々と、村人をザクザクと、一人残らず殺していきました。
何であんな、残酷なことが出来るのか。
あの悪魔は、村人を殺し尽くしました。
辺り一帯の村々を、全て破壊し尽くしたのです。
僕を気に入り、可愛がってくれた村長さん達も。
その娘さん達も。
優しい村人達も。
僕は必死に、誰か一人でも助かるよう手を尽くしましたが、無駄でした。
全員を殺し尽くし、誰一人守るべき者がいなくなったとき。
『殺戮の堕天使』は、冷たい目でこちらを見下ろしました。
その顔は、微笑みをたたえていました。
信じられますか?
あれだけ殺しておいて、罪のない人の命を奪っておいて。
自分が殺した人間の、返り血にまみれながら。
あの悪魔は、笑っていたのです。
「…さぁ」
優雅に、両手を広げました。
「これでやる気が出ました?全員殺しましたけど」
「…お前…!」
「あぁ、怒ってる怒ってる。良いですよ、もっと怒って…。僕に怒りをぶつけてください」
最早、守るべきものは何もない。
僕は杖を握り締め、渾身の光魔法を、『殺戮の堕天使』に叩きつけました。
…しかし。
「…この程度ですか?」