神殺しのクロノスタシス2
「…天音君?」

「僕も、協力させてください。僕は『殺戮の堕天使』を許すことは出来ません」

天音の目は、憎しみに染まっていた。

…復讐か。

「何の為にあんなことをしたのか、何で村人を巻き添えにしたのか…。僕は、自分の目で確かめないと気が済まないんです」

「天音君…」

「お願いします。協力させてください」

…天音にしてみれば。

当事者である自分が除け者にされて、他の人間の手に委ねられるなんて…とても納得行かないのだろう。

その気持ちはよく分かる。

でも、それだけに危険が伴う。

もう一度あの悪魔が天音の前に出てきて、天音を殺そうとしたら。

今度は、生きて帰れるだろうか?

回復魔法専門の天音は、明らかに戦闘向きではない。

命を第一に考えるなら、天音は退いて、人員豊かな聖魔騎士団に一任すべきだ。

しかし…。

「…分かった。君も協力してもらうよう、聖魔騎士団に掛け合おう」

シルナは、そう答えた。

…だと思った。

「…ありがとうございます…!」

ここで止めたとしても、無駄だと分かっているからだ。

今止めても、今度は、天音は独断で動くだろう。

そちらの方が、余程危険だ。

「でも、捜査に協力するのは、君の魔力が回復してからだよ。それまでは、大人しく休んでること。それが条件」

「うっ…。は、はい」

すぐにでも動くつもりだったな?さては。

そうは行かんぞ。シルナの前ではな。

「大丈夫。悲劇は繰り返させないよ。ルーデュニア聖王国、聖魔騎士団の名において」

「…ありがとうございます」

…こうして、俺達は。

『禁忌の黒魔導書』を解き放った犯人探しに加え。

『殺戮の堕天使』なる魔導師の行方を探す任務を、仰せつかることとなった。
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