神殺しのクロノスタシス2
「♪♪♪~」
「…」
まず、鼻唄をやめろ。
一緒に歩いてて、恥ずかしいことこの上ない。
校舎の廊下を半ばスキップしながら歩くのもやめろ。
気持ち悪いことこの上ない。
こんなときに生徒とすれ違ったらどうするんだよ…と思っていたら。
案の定。
「…あっ…」
丁度廊下の曲がり角で、二人組の女子生徒と出くわした。
しかもその女子生徒二人組、名札を見たところ、まだ入学したての新入生だ。
仲良くおしゃべりしていた二人組が、俺とシルナを見て、身体を硬直させた。
多分俺にびびったんじゃなく、シルナにびびっているのだ。
だってシルナは、「あの」イーニシュフェルト魔導学院の学院長。
授業を担当しているのは、あくまでシルナが作り出した分身であって、シルナ自身ではない。
だからこの新入生達にとっては、これが初めて、入学式以外で学院長の姿を見た瞬間なのである。
二人はもごもごして、何を言ったら良いか分からないみたいな顔になった。
それもそうだろう。
天下のイーニシュフェルト魔導学院に入学したとはいえ、彼女達は、まだ13歳そこそこの少女。
ルーデュニア聖王国では、「伝説の魔導師」とまで呼ばれているシルナ・エインリーを前にして、何を言ったら良いのかなんて、分かるはずがない。
シルナはシルナで、二人の少女をじっ…と見つめた。
「こ…こんにちは、エインリー学院長先生…」
二人のうち一人が、震える声で挨拶した。
その勇気はなかなかのものだ。
しかし、シルナは答えず、二人をじっと見つめる。
少女達の目に、恐怖と怯えが広がった。
もしや、あの学院長を怒らせてしまったのか。
イーニシュフェルトの生徒とはいえ、自分達のような小娘が、学院長の前に跪きもせず、軽々しく口を利いてしまったことに、怒りを買ったのか。
二人共、泣きそうな顔でシルナを見上げた。
可哀想に。
だが、少女達よ。
心配することはない。
こいつは確かに、伝説の魔導師だとか何とか言われてるが。
ただの、シルナ・エインリーである。
「…思い出した!」
シルナは、いきなりそう叫んだ。
二人の少女は、びくっ、と身体を震わせた。
「…」
まず、鼻唄をやめろ。
一緒に歩いてて、恥ずかしいことこの上ない。
校舎の廊下を半ばスキップしながら歩くのもやめろ。
気持ち悪いことこの上ない。
こんなときに生徒とすれ違ったらどうするんだよ…と思っていたら。
案の定。
「…あっ…」
丁度廊下の曲がり角で、二人組の女子生徒と出くわした。
しかもその女子生徒二人組、名札を見たところ、まだ入学したての新入生だ。
仲良くおしゃべりしていた二人組が、俺とシルナを見て、身体を硬直させた。
多分俺にびびったんじゃなく、シルナにびびっているのだ。
だってシルナは、「あの」イーニシュフェルト魔導学院の学院長。
授業を担当しているのは、あくまでシルナが作り出した分身であって、シルナ自身ではない。
だからこの新入生達にとっては、これが初めて、入学式以外で学院長の姿を見た瞬間なのである。
二人はもごもごして、何を言ったら良いか分からないみたいな顔になった。
それもそうだろう。
天下のイーニシュフェルト魔導学院に入学したとはいえ、彼女達は、まだ13歳そこそこの少女。
ルーデュニア聖王国では、「伝説の魔導師」とまで呼ばれているシルナ・エインリーを前にして、何を言ったら良いのかなんて、分かるはずがない。
シルナはシルナで、二人の少女をじっ…と見つめた。
「こ…こんにちは、エインリー学院長先生…」
二人のうち一人が、震える声で挨拶した。
その勇気はなかなかのものだ。
しかし、シルナは答えず、二人をじっと見つめる。
少女達の目に、恐怖と怯えが広がった。
もしや、あの学院長を怒らせてしまったのか。
イーニシュフェルトの生徒とはいえ、自分達のような小娘が、学院長の前に跪きもせず、軽々しく口を利いてしまったことに、怒りを買ったのか。
二人共、泣きそうな顔でシルナを見上げた。
可哀想に。
だが、少女達よ。
心配することはない。
こいつは確かに、伝説の魔導師だとか何とか言われてるが。
ただの、シルナ・エインリーである。
「…思い出した!」
シルナは、いきなりそう叫んだ。
二人の少女は、びくっ、と身体を震わせた。