神殺しのクロノスタシス2
今回の、赤組の魔導人形を作るにあたり。

赤チームのメンバーは、様々な意見を出し合った。

まずは、何処に重きを置くか、だ。

攻撃重視か、それとも防御重視か。

攻撃防御両方兼ね備えた、バランス重視か。

議論はなかなかに白熱した。

攻撃重視派の意見は、

「やっぱりここは攻めるべきだ。攻撃は最大の防御って言うじゃないか。」

成程、正論。

一方、防御重視派の意見は、

「壊されなかったら勝ちなんだから、守りに徹して、他チームを潰し合わせよう。」

成程、正論。

じゃあその間を取って、バランス重視にするか、という意見も出たが。

「バランスと言えば聞こえは良いが、攻撃防御どちらも中途半端になって、結局負けることになるかもしれない。」

成程、ド正論。

僕に言わせれば、奇策を用いるつもりがないのなら、開戦と同時にどちらかのチームをぶっ潰して。

さっさと、一対一の戦いに持ち込んだ方が良い。

まぁ、そう上手く行くはずもないか。

ちなみに、僕は議論の場に参加はしていたが、意見は出さなかった。

僕だけじゃなくて、一年生は自分から発言したりはしなかった。

先輩相手に、自分の意見を出すなんて畏れ多いから。

…それで、結局。

赤チームは、攻撃力重視の魔導人形をカスタマイズすることに決まった。

先輩達曰く、「完璧な出来」だそうだ。

はぁ、それは結構なことで。

確かに、学生が作ったにしては、なかなかのものだけど。

僕にとっては、ただの木偶の坊にしか見えない。

色んな小道具をくっつけただけの、ハリボテも同じ。

こんなんで他チームに勝てるのかと、僕は甚だ疑問だったが。

運動会の勝ち負けなんて、元々僕にとってはどうでも良いことだ。
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