神殺しのクロノスタシス2
羽久・グラスフィアがピストルを鳴らすと、戦いが始まった。

僕だったら、速攻退散して、他チームを潰し合わせるのだが。

今回の作戦は、まず先に青チームを倒すことだった。

その後で、黄チームに挑もう、と。

だからスカーレット号は、予定通り果敢に青チームに挑んでいった。

しかし。

「…っ、駄目か?」

スカーレット号が搭載しているメイン武器、魔力で強化したトンファーの一撃を、青チームの人形の盾が防いだ。

あの一撃を受け止めるとは。

さては青チーム、防御重視派だな。

よく見たら青チームの魔導人形は、分厚い盾と、全身に鎧のようなものをまとっていた。

これは相性が悪い。

あの盾と鎧を壊すには、相当時間と魔力を食うぞ。

しかも、もたもたしていたら、黄チームに背後を突かれる。

リーダーもそれを察してか、苦し紛れに作戦変更を指示した。

「青チームは後回しだ!先に黄チームを!」

スカーレット号は、青チームの人形から距離を取り。

黄チームの魔導人形に、狙いを定めた。

しかし、時は既に遅かった。

スカーレット号が青チームに構っている間に、黄チームは、スカーレット号の背後を取っていた。

黄チームのメイン武器は、スカーレット号とは違い、魔力で出来た細いフェンシングのような剣。

その鋭い刃が、スカーレット号に襲い掛かった。

スカーレット号は防御をほぼ捨てているので、あんな一撃を食らったら、あっという間に半壊する。

しかし、そこでやられるほど、スカーレット号はヤワではなかったようで。

間一髪のところで、黄チームの攻撃を避けた。

やるじゃん。

「よしっ、今だ、畳み掛けろ!」

と、リーダーの指示。

見たところ、黄チームの魔導人形には、盾も鎧もついていない。

スカーレット号ご自慢の、あのゴツいトンファーで、脳天叩き割ってやれば。

それで、決着はつくはずだった。

だが。

何事も、思うようにはいかないもので。
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