神殺しのクロノスタシス2
スカーレット号のトンファーを、黄チームの魔導人形は、素早い動きでするりと避けた。

神回避。

「何っ…!?」

これには、赤チームリーダーも驚愕。

スカーレット号は、何度もトンファーを振り上げては、黄チームの人形を狙った。

しかし、その攻撃が当たることはなかった。

すんでのところで、全部避けられてしまう。

あの機敏な動きよ。

黄チームはどうやら、スピード重視の魔導人形らしいな。

スピード重視か。

赤チームには、その発想はなかったな。

スカーレット号のトンファーは確かに強いし、当たれば一撃で倒せる。

だが、それは当たれば、の話である。

そんなロマン技をメイン武器にしたんじゃあ、機敏な黄チームにしてみれば、良いカモも同然。

しかも。

黄チームに苦戦している間に、青チームも参戦してきた。

あーあ。

青チームの人形に武器はないが。

しかし彼らには、あのゴツい盾がある。

防御だけに使うのではなく、盾を鈍器代わりに襲ってきた。

ある意味、バランス派だな。

こうしてスカーレット号は、青チームと黄チーム、両方に挟まれることになった。

三巴の合戦で、左右に挟まれるのは最悪の状況だ。

「くっ…!頑張れ!スカーレット号!」

赤チームの、必死の応援も虚しく。

防御する術がないスカーレット号は、青チームのタックルと、黄チームの剣を同時に浴び。

脆くも儚く、その場に倒れて動かなくなった。

「あぁっ…」

赤チームのテントに、落胆が広がった。

あーあ。

負けてやんの。

しかも、一番に倒された。最下位じゃないか。

こんなことになるんじゃないか、と思ってたよ。

いくら攻撃だけ強くてもな。

当たらなければ、ただの飾りだから。

憐れなり、さらばスカーレット号。

僕はお前に、全く愛着もないが。

スカーレット号に感情移入していた数名は、スカーレット号の敗北に涙を滲ませていた。

おいおい。ただの人形だぞ。

もうガラクタなのだから、バラバラにして捨てれば良い。

さて、スカーレット号は負け、赤チームの敗北は決まったので。

あとは、残る二チームの一騎討ちを、観戦するだけ。

どちらのハリボテが勝利するやら。
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