神殺しのクロノスタシス2
もうメインイベントも終わったんだから、さっさと閉会式にしてくれれば良いのに。

実は、まだ僕が出場させられる種目がある。

その名も、借り物競争。

魔導学院じゃなくても、大体何処の学校でもやってる種目である。

つまらん。

僕は出たくなかったんだけど、そもそも運動会自体が面倒臭かったんだけど。

人数合わせの為に、ほぼ強制的に出場させられることになってしまった。

よりによって借り物競争とは。

どうせなら、別の種目にして欲しかった。

だって、考えてみろ。

借り物競争だぞ?

「帽子を被った女性」とか、「黒い服を着た人」とかなら、まだマシ。

それだって嫌だよ?

だって観客席にわざわざ行って、「帽子被ってる女の人いませんかー!」って叫ばなきゃならないんだろ?

名乗り出てくれれば良いけど、誰も協力してくれなかったらどうするんだ。

それだけじゃない。

もっと細かい注文をつけられたら、どうするんだ。

「赤い帽子に青いサロペット着て、髭を生やしたおっさんを連れてくる」とか。

そんなお題を引いてしまったら、僕は一生ゴール出来ないぞ。

このグラウンドの何処にいるんだ。そんなコスプレイヤー。

あー面倒臭い。

でも、出なければならない。

僕は渋々ながら、グラウンドに向かった。

ゴール地点には羽久・グラスフィアがいて、紙に書いたお題と、連れてきた借り物が一致しているか確認するらしい。

審査員がイレース・クローリアでなかったのは、せめてもの救いだな。

あの人なら、お題から少しでも離れていたら、容赦なくボツにするだろう。

でも、羽久・グラスフィアなら。

多目に見てくれれば良いのだけど。あの空っぽの人。

せめて、少しでも楽なお題を引けますように。
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